JOURNAL診療記録

猫の去勢手術

去勢手術は、望まない繁殖を防ぎ、愛猫の健康と行動管理のために重要な手術です。
以下に、去勢手術のメリット、リスク、適切なケアについて詳しく説明します。

小原 健吾

監修者プロフィール:小原 健吾

日本小動物歯科研究会、比較歯科学研究会

手術の流れ

手術は全身麻酔で行います。
手術は日帰りです。

● 手術の流れ

・手術前診察
手術日を決め、手術当日〜2週間以内の日程で麻酔前の全身的な血液検査を行います。

・手術当日
午前中の診察時間にお預かりし、お昼に施術、午後の診察時間にお返しとご説明をいたします。
具体的には10〜11時頃来院、12時から手術開始、16〜17時頃退院となります。
術後2週間で抜糸します。

去勢手術のメリット

本来の目的は、不要な繁殖を防ぐことで飼いきれなくなってしまう猫やシェルターに収容される猫の数を減少させることです。
その他にも愛猫の健康を守る目的、一緒に暮らすうえでのトラブルを回避する目的もあります。

● 去勢手術のメリット

健康上のメリット
 精巣腫瘍:精巣腫瘍が発生するリスクを完全に排除します。
  特に潜在精巣(精巣が正常な位置に移動せず、腹腔内や皮下に留まっていること)は悪性腫瘍化するリスクが極めて高いので、去勢手術を強くお勧めいたします。

日常生活上のメリット
 攻撃性の低減:去勢により攻撃的な行動が軽減されることがあります。
 脱走の回避:雌猫を求めたり、縄張り意識から外に出てしまうリスクを減らします。
 マーキングの回避:発情前に去勢手術を行うことで、発生リスクが著しく減少します。
 マウンティングの減少:ほかの猫やぬいぐるみなどへのマウンティングを減らします。
特にマンションなどの集合住宅や賃貸、猫の多い地域にお住まいの方には重要な事項です。

当院で去勢手術を行うメリット

安全に行う技術はもちろん、手術用電気デバイスの中でも上位機種の血管シーリングシステムや電気メスを完備しております。

● 血管シーリングシステムとは?

特殊な器具で組織をシール(止血)することで出血を抑えることができる機械です。
これにより従来の糸を用いた止血よりも確実・安全・スピーディーに処置ができるようになしました。
時折、糸に反応して炎症反応(縫合糸反応性肉芽腫)が起こることが知られていますが、そのリスクを最小限にとどめることもできます。

ご興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

適切な手術の時期

では、いつ頃に手術を行ったらいいのか確認しましょう。

● 適切な手術の時期

通常、生後6ヶ月齢を過ぎたら早めに行われます。
マーキングや脱走などの行動が認められる前に手術をお勧めいたします。

手術のリスクと管理

去勢手術は手技も単純で健康な猫に行うため比較的安全な手術ですが、全身麻酔に伴うリスクがあります。

● 去勢手術のデメリット

・麻酔リスク
体質的な問題で、麻酔に対するアレルギー反応や合併症が発生する可能性はゼロではありません。

・手術部位の腫れ、痛み、感染症
ほとんどの場合は起こらないですが、手術後に舐めてしまったり付着した汚れを放置すると、トラブルが起こることがあります。

術後は太りやすくなるため、避妊・去勢後用フードに変えるなど、体重管理をお勧めいたします。

手術後のケア

手術後はご自宅でどのようなケアが必要なのか、確認しましょう。

● 手術後のケア

手術後当日は疲れが出てしまうかもしれませんが、ほとんどの場合は翌日には元気になっています。
帰宅後は安静にしてあげてご飯も一度に与えず少量頻回に与えてください。
翌朝以降はいつも通りの生活ができます。
翌朝もご心配な様子がありましたら、必ず当院にご相談ください。
必要であればエリザベスカラーをお貸しします。

愛猫の去勢手術は、健康管理とトラブル回避のために非常に重要です。
適切なタイミングで手術を行い、手術後のケアをしっかりと行うことで、愛猫が健康で幸せな生活を送ることができます。
ご相談はいつでも、お気軽にご来院ください。

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